自分で実施する企業信用調査の基本

売掛取引依頼票の取得

取引開始時点の条件として、「売掛取引依頼票」に記入してもらい、代表者印をもらっておきましょう。さまざまな情報を入手する基礎情報になりますし、万一の際の保障にもなります。取得する理由は次の通りです。

  • 登記簿上の会社所在地を知っておけば代表者の住所などもすぐ調べられる
  • 取引相手が「売掛取引依頼票」で自己申告した情報と、後の調査で調べた事実とが違っていた場合、この相手と将来紛争になった時の有力な証拠になる
  • 銀行口座を知っておくことによって、急な仮差し押さえや、判決後の本差し押さえの際の有力な資料となる
  • こういった書類に対してどのような反応を示すのかについても、一つの指標として考えられる

登記簿の確認

力関係が最も優位な段階にある取引開始時点のうちに、相手方の情報をできるだけ収集してしまいましょう。登記簿を取得しておくだけで、かなりのことが確認できます。

会社の商業登記簿謄本
会社の商業登記簿謄本を取得することで、以下のようなことがわかります。
  • その会社が本当に存在しているのかどうかわかる
  • 代表者・役員の氏名・住所がわかる
  • その他、会社の履歴もチェック可能(「売掛取引依頼票」から会社住所がわかるので商業登記簿謄本をとることが可能)
代表者の自宅の不動産登記簿
代表者の自宅の不動産登記簿を取得することで、代表者の借り入れ状況がわかります。これは、代表者の自宅は担保に入っていることが多いいためです。代表者の自宅の不動産登記簿の確認時には、銀行からの貸付なのか、それとも信販会社なのか、個人なのかも確認しておきます。

融資の出所が怪しげな場合は要注意

ここまで調べれば、会社の素性から借り入れのおおよその額までを推測でき、また万が一相手が倒産したというときの債権の保全も迅速に行うことが可能になります。

もちろんこれだけで充分だとはいえませんが、少なくとも名前だけの架空会社と取引してしまったり、ばく大な債務を抱えた会社と大口の契約をやすやすと結んでしまうようなことは避けられます。

データ調査会社を使った信用調査

データ調査会社を使った信用調査はコストを抑えることができますが、問題もあります。とくに、データの「更新時期」には要注意です。

データを元に相手の与信を図ることを基本にされることに問題はありません。しかし、そのデータ会社から提供報告される報告書データはいつのものなのでしょうか? 取引業者に目まぐるしく変化がある時代、30日前に更新されたものならまだしも、数ヶ月前のデータを信用できるか否か、そのデータの「更新時期」には注意が必要です。

少し考えれば、真実の決算内容を記入できない状況にあるからこそ、その会社が調査を進められる状況にあることに気づかれるはずです。そして、データ会社から送付される「調査記入用紙」への記入が、特に与信状態の優れない企業がや零細企業の場合、虚偽の記入が行われていても、データ会社の確認が行われていない現状も問題です。