探偵業法で認可されない探偵は?

探偵業の業務の適正化に関する法律(以下、探偵業法とします)では、今まで探偵業を営んできた探偵さんにも探偵業を営んではならない欠格事由(第三条関係)が適用される可能性があります。

それでは、この条文を、探偵業法—立法までの物語と逐条解説から引用してみてみましょう。

次の各号に該当する方々は、法律上探偵業に就くことが制限されているため、探偵業者となることができません。

  1. 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの。
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、又は探偵業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者。
  3. 最近五年間に、第十五条の規定による処分に違反した者。
  4. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者。
  5. 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの。
  6. 法人でその役員のうちに第1号から第4号までのいずれかに該当する者があるもの。

昨年11月23日、東京都内で、著者であり、またこの法案をまとめ上げて成立までを導かれた、衆議院議員 葉梨康弘氏による「『探偵業法』出版記念特別セミナー」が開催されました。その際にこの点への言及もされたのですが、悪質業者の排除を行うために目的としたこれら欠格事由は、探偵業法の根幹たる重要な点であると小生は理解しているところです。

しかし葉梨氏は著書の中で、役所の介入について次のように記しておられる。

悪質業者を排除するため、欠格事由を設けるという施策は、探偵業法の制定理由の根幹を成す。
ただ、この法律は、役所に裁量権を与えるために制定されたものでも、探偵業者にお墨付きを与えるために制定されたものでもなく、「届出制」を導入して探偵業の実体をしっかりと把握し、個人の権利利益を保護するため、必要な取り締まりを行うことを主眼としている。したがって、あくまで、役所が、事前に、ある人物又は法人について、「この者は探偵業を営むことが適当であるか否か」という調査を行い、審査するような条項を、欠格事由として採用することとはしなかったわけである。

探偵業法—立法までの物語と逐条解説 P95 欠格事由の規定を設けた主旨より

つまり、

  • 悪質業者を排除するための施策である点
  • 探偵業者の把握を行うための施策である点
  • 役所に開業の裁量権を与えていない点
  • 探偵業者へのお墨付きではない点
  • 個人(依頼主)の権利利益を守る施策である点

この5点を理解すればよい。

さて、ここで条文毎の理解を深めてゆきたい。

第一号 . 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの。

この第一号について小生は、成年被後見人とは、精神上に障害があって判断能力が無いと家裁で後見開始の審判を受けた者であり、被保佐人とは、同じく家裁で保佐開始の審判を受けた者である。また、法定代理人のある未成年者を除くが破産者も探偵業を営むには適当でないとしていると理解しております。
(Google検索:成年被後見人/被保佐人/破産者)

第二号 . 禁錮以上の刑に処せられ、又は探偵業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者。

さて少し余談になりますが、有期刑の法定刑に刑法12条と刑法13条があります。ご存じの通り刑法12条は懲役を、刑法13条は禁錮を定めたものです。

(懲役)
第12条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、1月以上15年以下とする。
2 懲役は、監獄に拘置して所定の作業を行わせる。
(禁錮)
第13条 禁錮は、無期及び有期とし、有期禁錮は、1月以上15年以下とする。
2 禁錮は、監獄に拘置する。

割と勘違いされているのが懲役と禁錮の違いです。
それも[13条の2 禁錮は、監獄に拘置する]と言う点で、いずれも監獄にはいるというのに違いはないのですが、禁錮については自宅に待機しておく程度のものと思っておられる。まあ希でしょうが念のために記しておきます。そしてその違いですが、労役を伴うのが懲役、ともなわないのが禁錮。この様に理解しています。
要はその禁固刑の執行を終えてから5年間を経過していない者は探偵業を営めないと私は理解しております。

第三号 . 最近5年間に第十五条の規定による処分に違反した者。

まず第十五条を見てみましょう。

第十五条 公安委員会は、探偵業者等がこの法律若しくは探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるとき、又は前条の規定による指示に違反したときは、当該探偵業者に対し、当該営業所における探偵業について、六月以内の期間を定めて、その全部又は一部の停止を命ずることができる。
2 公安委員会は、第三条各号のいずれかに該当する者が探偵業を営んでいるときは、その者に対し、営業の廃止を命ずることができる。

この第十五条は、探偵業者に対して営業停止や営業廃止を公安委員会が命令できることが記してありますから、この処分を受けた者は探偵業を営むことが出来ないのだと、私は理解しております。また、この条文には営業停止命令を受けた探偵業者がその命令を無視して営業をした場合、営業廃止命令を課すことが出来る効果も得られるようです。

第四号 . 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者。

暴力団構成員又は構成員であった者を、探偵業者から排除するための規定で、ここでいう暴力団とは指定暴力団又は指定暴力団連合のの構成員をいいますが、いわゆる企業舎弟や準構成員などの場合では暴力団の不当な行為の防止に関する法律にリスト化されていないため、生憎にも今回の欠格事由対象となっておりません。しかし、施行後三年で検討条項として上げられておりますから暴力団の関与については益々厳しいチェックが進むと思われます。

第五号 . 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの。

親が開業していた探偵社に相続が発生するような場合、その相続者が未成年ならば法定代理人が必要となってきます。(前出の第一号に関連)
その法定代理人が前の第一号から第五号までに該当していれば、それは欠格事由に該当する事になるのです。つまり、ここでいう法定代理人として相応しく無いという事。私はこの様に理解しています。

第六号 . 法人でその役員のうちに第1号から第4号までのいずれかに該当する者があるもの。

この条文は、探偵業者が法人である場合の規定です。法人の場合、会社法で言う役員が前の第一号から第五号までに該当していれば、それは欠格事由に該当する事になるのです。

今回タイトルを「探偵業法で認可されない探偵は?」とした。
現在、探偵業を営んでいる業者で、一体どれだけの業者が認可されるのか、また、認可に到らないのかは知るところではない。ただ、この法律は施行されてから3年で更に強化されるという。よって更にこの業界が適正化されることに期待を高めると同時に、自らが律してゆくことの大切さを改めて感じているところです。

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