電波発信機とは

盗聴器として最も使用されているのが、電波式発信機です。その特性と種類について知っておきましょう。

電波式発信機の種類

赤ちゃん監視用マイクやコードレスホンなどの一般的な発信機から、車両追跡用発信機、VOX式盗聴器などの高度ものまで、さまざまな発信器が盗聴に悪用されています。

赤ちゃん監視用マイク
他の部屋にいる赤ちゃんの様子を確認するために使う無線機で、赤ちゃんの声が聞こえるかどうかで様子を確認するものです。常に電波が送信状態になっているので第三者による傍受が可能であり、結果として盗聴器として機能してしまうことがあります。
コードレスホン
親機と子機の間のやり取りを電波で行っていることから、第三者による傍受が可能です。380.2125MHzと253.8625~254.9625MHz(12.5kHzステップ)が使われていますが、これもまた本人が気づかずに電波を垂れ流している状態の無線機であり、結果として盗聴器として機能してしまうことがあります。
車両追跡用発信機
音声を聞くことを目的とせず、車両に設置して、その発信源を特定するために使われる発信機です。信号音をのせた電波が発射される発信機で、受信側はその信号音をよりはっきり受信できる方に進むことによって、車両の追跡を行います。
VOX式盗聴器
音声が出ているときだけ、電波を発射するタイプの盗聴器です。常に電波が出ているわけではないので、第三者に傍受される可能性が少ないという特徴があります。音に反応するVOX回路が内蔵されていることからこう呼ばれます。

盗聴波の出力・飛距離

市販されている電波式発信機の出力は、弱いもので4~5mW,平均で20mWだといわれています。盗聴波の飛距離は、出力に加えて、設置場所や周囲の環境などに大きく左右されます。当然、見晴らしのいい場所の方がよく飛び、遮へい物の多い場所ではあまり飛びません。一般的に飛距離は、4~5mWタイプのもので数十m程度だといわれています。中には数kmも飛ぶものも存在します。

出力の弱い発信機は、第三者による傍受を極力抑えられることから、プロが好んで使うようです。一方、簡単に扱えるのが20mW程度のものだといわれ、電波がある程度の距離まで飛ぶので、受信も容易です。例えば、「娘の行動を監視するために、父親が娘の部屋に仕掛けた」というような場合は、入手しやすい20mW程度のタイプがよく使われていると思われます。

いずれにせよ電波式発信機は、一般家庭に仕掛けられているものもあれば風俗街やホテル街に仕掛けられているものもあり、時にはビジネス街で発見という事もあるほどのメジャーな盗聴器です。しかも、広帯域受信機が1台あればだれにでも受信できることから、盗聴器を仕掛けた相手以外にも受信されている可能性さえあります。出力・飛距離を問わず、早めの発見除去が肝心です。