盗聴器の分類

盗聴器は大まかに、設置目的、使用電源、伝達方式、形状によって分類することができます。

設置目的による分類

設置目的による盗聴器の分類について解説します。必ずしも他人によって仕掛けられるものだけではなく、結果として「盗聴器」になってしまうものも少なくないのが現実です。分類すると下表のようになります。

盗聴の形態 解説
調査・スパイ 探偵などのプロフェッショナルによって仕掛けられるケースが多く、ありとあらゆる手段が使われると思った方が無難です。場合によっては、自作盗聴器が使われます。
興味本位・嫌がらせ 一般に市販されている盗聴器が使われます。おもに電波式が使われ、便乗受信のターゲットにもなっています。風俗店やラブホテルに仕掛けられている盗聴器のほとんどがこのタイプになります。
監視・確認 赤ちゃんの監視や自分の部屋に侵入者がいないかどうかを確認するために設置されるものです。一般に市販されている「赤ちゃん監視用マイク」は電波式なので、第三者による傍受も可能になります。
追跡・尾行 調査・スパイで行われるもので、主に車両に取り付けられます。信号音を電波に乗せて飛ばすタイプです。
その他 ワイヤレスマイクの電源を切り忘れたり、各種無線機のPTTボタンが押しっぱなしになっていると、第三者によって傍受される可能性があります。コードレスホンも同様です。

「赤ちゃん監視用マイク」のように、結果として盗聴器になってしまうものもあることから、「盗聴器」は必ずしも他人によって仕掛けられるものではないということがわかります。

使用電源による分類

盗聴器を使用電源で分類すると、電池式・寄生式の2タイプに大別でき、まとめると下表のようになります。

盗聴器 電池式
寄生式 電話回線
家庭用電源

電池式は、文字通り電源に電池を使うタイプで、基本的にどこにでも設置可能ですが、寿命が限られます。寄生式は、家庭用電源や電話回線などから電源を取るタイプで、設置される場所が電源のある場所に限られますが、一度設置すれば半永久的に使用されます。

伝達方式による分類

盗聴器の伝達方法は、大きく分けて有線式と無線式。有線式は発見が難しく、特殊な機器や知識が必要になります。伝達方式によっる分類をまとめると下表のようになります。

盗聴器 有線タイプ 電話回線
電灯線 コンクリートマイク
その他 集音機
無線タイプ 電波式発音機 アナログ
赤外線式 デジタル
レーザー式
有線タイプ
電話回線や電灯線を利用する有線タイプには寄生式が多いのが特徴です。有線を利用しているために、基本的に第三者に傍受される心配がなく、どちらかというとプロユースな盗聴器といえます。ゆえに、盗聴される側にとっては実に厄介な存在です。有線タイプの発見には、特殊な機器や知識が必要になります。
録音タイプ
厳密には有線タイプの一種で、録音したテープを後日回収する方法のものです。
無線タイプ
マイクと送信ユニットが一体になった盗聴器を仕掛け、離れたところでその電波(あるいは赤外線)を受信するのが無線タイプです。市販されている盗聴器で、最も多いのがこのタイプです。何らかの日用品に偽装して仕掛けるのが主な使われ方ですが、市販されている電波式発信機のほとんどが同じ周波数を使っているために、便乗盗聴の対象にもなっています。

形状による分類

盗聴者が重要視するポイントの一つに「形状」があり、万年筆、電卓、二股・三叉コンセント…。日曜品に偽装した盗聴器が好んで使われます。まとめると下表のようになります。

盗聴器 基板型 電源・電話系 モジュラー
ヒューズ
二又・三叉ソケット
ボックス型   カールコード etc.
偽装型 日用品系 筆記用具

カード
電卓
ラジカセ
ぬいぐるみetc
転用型   携帯電話
PHS
特定小電力トランシーバ
赤ちゃん監視用マイク
ワイヤレスマイクetc
特殊型 レーザー式盗聴器
コンクリートマイク
集音機 etc

そもそも盗聴器が、気づかれることなく、クリアな音声を拾うことを目的にしていると考えれば、おのずと偽装型が多くなるのもうなずけます。本来あるはずの無い発信基盤が埋め込まれた製品は、全て悪意ある第三者から送り込まれた偽装品だと考えて良いでしょう。

偽装型で有名なのは、万年筆や電卓を装っているものです。これらは常に机の上においておく道具だけに、室内の音声を聴かれる危険があります。また、二叉・三叉コンセントに偽装した物は、見た目では盗聴器だということがわかりにくいように製作されます。